性病感染の事実を知りながら病気を移してしまった場合、傷害罪が適用される可能性 ((( ;゚Д゚))))

2013年、アメリカのミズリー州でHIV感染の事実を知りながら、300人以上の女性とセックスを繰り返していた男性が逮捕され、CNNなどの海外ニュースで大きく報道されました。同州が定める法律では、相手の同意を得ないでHIV感染のリスクにさらす行為を15年以下の禁錮刑となっており、相手を感染させてしまった場合は終身刑が適用される可能性もあり、非常に重い罪として裁かれます。以下に一つの例を挙げていますが、日本では法的にどう解釈されるのでしょうか?

刑法204条で罰せられる?

都内の私立大学でテニスサークルに所属している太地君(仮名:21歳)は、尿道から出る膿のような液体とムズムズしたかゆみを不審に思って、泌尿器科で医師に診てもらったところ「クラミジアに感染して尿道炎を起こしている」と言われました。「クラミジアは抗生物質が効きやすいので心配はないよ」と聞いて一安心したのですが、完治するまでの数週間は、「たとえコンドームを使用してもセックスは駄目だからね。」と注意されて気落ちしました。

診察から数日して、都内の女子大のテニスサークルとの合同練習(という名目の合コン)がありました。お目当ての美人といい感じなった太地君は、「先生はゴム付けてもエッチはだめだと言ってたけど、ゴム付けてたらクラミジアは感染しないんじゃね? 例え感染リスクがあったとしても、感染しない確率の方が高いよな?」と自分勝手な解釈で、飲み会→カラオケ→ラブホテルという、過去に何度も経験した「定跡」を今回も踏襲してしまったのです。

コンドームは性病を100%予防できない

それから約1か月後、件の美人女子大生から電話がありました。電話の要件は書かずともお分かりかと思いますが、彼女もクラミジアに感染してしまったのです。太地君は心の中で「エーッ!やっぱり先生の忠告どおり、クラミジアがうつってしまったか!」と思いましたが、そんなことを彼女に言えるはずもなく、「ウソ?大丈夫なの? 俺は何の症状も出てないよ。ひょっとしたら俺も検査を受けたほうがいいのかな?」とあくまでも知らぬ、存ぜぬを突き通しました。

さて、このような場合、日本の法律はどうなっているのでしょうか? 実は日本では2000年まで「性病予防法」という法律があり、売春などの性行為で相手に性病を移すと「三年以下の懲役、2万円以下の罰金」という処分が規定されていたのです。しかし、現在はこの法律が廃止されているため、性病を移す行為自体を禁じた法律は存在しなくなりました。

しかし、上記の太地君のように「性病感染の事実を知っていながら」セックスをして、相手も感染させてしまった場合、「傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)」に問われる可能性があります。

ただし、本人に「これでセックスをしたら性病を移してしまうかも…」あるいは因縁のある相手に対して「復讐でアイツも性病に感染させてやろう」といった傷害の故意がなければ「傷害罪」は成立しません。これは傷害罪は"故意犯"が条件となるためです。故意が認められない場合は、罪が軽い「過失傷害罪(30万円以下の罰金)」を適用される可能性があります。

性病をうつされた被害で実際に裁判で有罪になった例もありますが、警察はこの手の男女間のトラブルに介入することにあまり積極的ではないので、裁判にまで発展する例はほとんどないようです。しかし、法的に罪となるか以前の問題として、人としての良識に著しく欠いた行為として非難されるべきなのは間違いないでしょう。


Copyright (C) 2016 性病の素朴な疑問を解決! All Rights Reserved.