その全身のダルさ、食欲不振はセックスで感染したB型肝炎ウイルスが原因かも!?

私は広告制作会社で財務経理の仕事をしているので、決算前の繁忙期は終電後にタクシーで帰宅するのが当たり前で、会社近くのホテルに連泊することも珍しくありません。そんなこともあり、2か月前に全身の倦怠感、食欲不振の症状が出ても、「残業が続いているから、さすがに疲れが溜まってきたか。来年は厄年(42歳)だし、無理は禁物だな」程度の認識しかありませんでした。

疲労感や食欲減退は肝炎のサイン

とりあえず滋養強壮剤や胃薬でなんとかなると思ったのですが、3週間ほど経っても身体のダルさ、食欲不振が改善されないばかりか、たまに吐き気が現れるようになったんです。「ひょっとしたら胃に大きな病気が隠れているかも…」と不安になった私は、会社を午前中だけ抜け出して病院で診てもらうことにしました。

消化器内科の先生に仕事環境を含めてこれまでの経緯を説明したところ、「それはストレスかもしれないですねぇ」と言われたんですが、原因を調べるために経鼻内視鏡検査(鼻から挿入する胃カメラ)と腹部エコー、血液検査を受けました。意外にも胃カメラでは胃の粘膜の荒れなどは確認されず、その代わりに腹部エコーと血液検査で異常が見つかったと指摘されました。

腹部エコーでは肝臓の肥大、血液検査では肝機能の代表的な指標であるAST(GOT)とALT(GPT)の数値が異常に高いことがわかりました。そして最も重要なのは、ウイルス性肝炎の検査項目の一つであるHBs抗原の陽性反応が出たことです。先生の診断は「B型急性肝炎」でした。

恥ずかしながら当時の私は、「肝炎」と名の付く病気は全部、お酒の飲みすぎとか、医療機関での針刺し事故、汚染された血液製剤・輸血、母子感染などが原因となると思っていたので、この結果は驚きました。先生の説明によると、国内のB型肝炎患者数は150万人ほどいるそうです。

母子感染の予防対策、医療従事者間におけるHBV(B型肝炎ウイルス)ワクチンの接種が徹底されている現在、B型肝炎の感染ルートとして増えているのが、セックスなのだそうです。つまりSTD(性感染症)としてのB型肝炎に感染する人が増えているのですね。

肝臓は症状が出にくい「沈黙の臓器」

成人になってからB型肝炎ウイルスに感染した場合、私のように全身倦怠感、食欲不振、嘔吐、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、茶色の尿が出るなどの症状が現れる「急性肝炎」と、症状が全く現れずに本人が感染の事実に気付かないまま自然治癒する「不顕性感染」の2パターンがあるとのこと。

私が先生の話を聞いて怖いと思ったのは、次の二つです。まず急性肝炎を発症してもほとんどは自然治癒する一方で、約1%の患者さんは、重度の肝不全や意識障害を引き起こす「劇症肝炎」に進行して死亡することもあるということ。もう一つはB型肝炎ウイルスは遺伝子型が色々あり、近年は「ジェノアA」と呼ばれる、慢性化しやすいウイルスの感染例が増えているみたいです。

慢性化ってのがヤバいですよね。すなわちコンドームを使わないセックスが原因で、慢性肝炎→肝硬変→肝臓がんになるリスクがあるということですから、無知ってホント怖いなと実感しました。

急性肝炎はよほど重度の症状が現れない限り、特別な治療は必要とせず、3か月程度で自然治癒するそうです。ただし発症初期の安静が大切ということで、先生からは仕事は控えるように言われました。また万が一の劇症肝炎のリスクも考慮して、定期的に通院して肝機能の検査を受けることになりました。

先生からは感染源の疑いがあるパートナーも一緒に検査して治療を行う必要があると言われたのですが、交際している彼女はおらず、一夜限りの関係という女性がこの半年に複数いたので、誰とのセックスでB型肝炎ウイルスに感染したのかが、今日に至るまでわからないのです。


Copyright (C) 2016 性病の素朴な疑問を解決! All Rights Reserved.